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天国大魔境の感想(レビュー)です。
「それでも町は廻っている(それ町)」でお馴染みの石黒正数さんが作者です。
アルパカ
当記事では、作品紹介後、謎・伏線について考察しています。
天国大魔境はこんな人にオススメです↓
- 「それ町」が好き
- ミステリ、SF、コメディとジャンルごちゃ混ぜな作品好き
- 謎があるマンガ好き
目次
天国大魔境とは?あらすじを解説
天国大魔境とはどんな作品か解説します。
天国大魔境のあらすじ
天国大魔境のあらすじです。
美しい壁に囲まれた世界で暮らす子供たち。
少年・トキオはある日、「外の外に行きたいですか?」というメッセージを受け取る。
一方、外では、マルとおねえちゃんがサバイバル生活をしながら、天国を求めて、魔境となった世界を旅している。
未来の日本を「あね散歩」。
二つの世界を縦横無尽に行き来する、超才・石黒正数最新作、極大スケールでスタート!!
引用元:Amazon
第1話はトキオという少年と、彼を取り巻く環境の説明から始まります。
閉鎖した「無機質な空間」に生きる彼らの話…と思いきや、その世界には外がありました。
明らかに敗退した市街の中で「マル(少年)」と「キルコ(おねえちゃん)」の2人が、何やらサバイバル・冒険しています。
彼らにはある目的があり、冒険(旅)をしているようです。
その謎はどうやら冒頭の施設と関係してそうで…という話。
天国大魔境はSF?サバイバル?
天国大魔境はSF世界(なにかが起きた未来の日本)を舞台にした、サバイバル漫画です。
外の世界(魔境)で、マルとキルコは食料や物資を調達しながら旅をします。
その生活、なにかが起こった世界での日常表現が素晴らしい。
ただそれだけじゃなく、ミステリーチックに謎が目白押しですし、割と明るい感じコメディタッチもあったり…。
「それでも町は廻っている」の石黒正数さんが描く新作だけあって「ジャンルごちゃ混ぜ」なのが面白いポイントです。
アルパカ
天国大魔境は「このマンガがすごい!2019」オトコ編で1位
天国大魔境は2018年末発売の「このマンガがすごい!2019」オトコ編で1位を獲得しました。
作者の石黒さんのインタビューは以下の通り
石黒:1巻の内容って、設定と状況の説明しかしておらず、まぁそれを極力面白く読んでもらえるよう努力はしているけれども、僕としては現段階ではまだ面白いとか凄いとかいう段階ではないと思っていたので、ランキングに名前が挙がる可能性さえ一切、1ミリも考えていませんでした。
ストーリーの大枠はすでに決まっているので、このまま粛々と進めていこうと思いますが、これを励みに少しプラスアルファ的なエピソードを差し挟む余地もあるかもしれない、と思っています。
引用元:コミックデイズ
石黒:ご期待に沿えるよう頑張りますのであたたかく見守っていただければ幸いです。
今後の注目ポイント、というか僕自身が注目していることはキルコとマルの精神的な関係性の動向です。
引用元:コミックデイズ
アルパカ
天国大魔境第1巻の感想・考察(ネタバレレビュー)
天国大魔境第1巻の感想です。
※少々内容のネタバレ(考察)あり
外の世界はどんな世界か?
天国大魔境第1巻で「良かった・印象に残った」シーンはこの辺り。
謎の施設の中で生きる少年トキオ。
彼が外の世界に興味を持ったことに対して、施設の運営者たる老婆が語る「外の世界の姿」。
- あさましい怪物
- 汚れた世界
- 地獄
という単語が踊ります。
この世界の外には何かある!と分かりますね。
アルパカ
これぞSF。過去に何があった?今世界はどうなっている?
この作品は過去の石黒さんの作品よりも「SF」要素が全開です。
過去に何かがあったのは明らか。
それはなにか?
そして今世界はどうなっているのか?
人々の発言の断片から、垣間見るしかありません。
「世界が崩壊していたこと」は明らかなようですし、謎の化物も存在します。
- 何故世界が滅びたのか?
- その後人類はどう行きていたのか?
- 最初に登場した施設は何なのか?
- 化物の正体は?
- 無法世代とは?
色々と考えることが多いです。
考察箇所としては、建物の老朽化はそこまで進んでおらず、動物が町の中にいるが数は少ない、植物が生い茂るわけでもない。
つまり、そこまで長い時間が経過したというわけではないことが分かります。
アルパカ
タイトル「天国大魔境」の意味は?
気になるのはタイトル「天国大魔境」の意味です。
作中で、主人公のマル、キルコは「天国」を目指していることが明らかになります。
少ない手がかりを元に「天国」と呼ばれる場所を目指す二人。
この天国とは明らかに第1話の施設のことですよね。
また、大魔境とは「悪魔や魔物の住む世界」という意味なので、施設の外の世界のことを指していますね。
ってことで「大魔境(外の世界)」から「天国(施設)」に行くという意味かなーと思っています。
ちなみに気づきづらいですが、最初「カラオケ天国」に泊まっていたのは、天国を探していたからですね。
こういう「気づく人だけ気付く」ような描写をする漫画です、個人的に好みですw
深堀り考察
個人的に色々と考えたことをまとめます。
トキオの元に現れる問11「外の外に行きたいですか?」という質問の意味は?誰からのメッセージ?
そもそも外には「2通り」ありえる。
- 外という概念が作品内であると示すために「外(部屋の外)のさらに外」と言っている
- 「施設の外」の更に外という意味 ※メタ的な舞台(精神的な場所) or 地球の外(地理的な遠さ)
そもそも「外は地獄」だとして、どうやってここに逃げ込んできた?
ここにいられる大人の条件は?明らかに数が少ないがどうやって選別されている?
あとは、今後の展開予想としては、トキオとマルが接触することは間違いない。
少女(ミミヒメ)には予知能力、あるいは鋭い勘がある。
その彼女が「トキオ」と似た顔の人が助けに来てくれる、と言っているのだからそれは確実と思われる。
トキオとマルが同じ顔な理由。
そしてキルコとミミヒメの髪の色も似ている。さらには第一人称が「僕」というところも共通している。
天国大魔境第2巻の感想・考察(ネタバレレビュー)
伏線っぽいところ、考察したいところをまとめました。
一番気になるのは監視カメラの日時が「t17/07/01」となっている点
天国内の監視カメラの日時が「t17/07/01」となっている。
- 2025年 大災害、マル生まれる
- 2034年9月付近 キルコの手術、ロビン殺害?医者が消える
- 2035年1月付近 キルコ旅立つ
- 2039年 マルとキルコが中野で出会い、現在(天国探し中)
と考えると、2017年ならば昔になる。
天国(学校)について整理する
天国については
- 監視カメラの日時が「t17/07/01」となっている
- 保育室で顔のない赤ちゃん ※ヒルコ(怪物)?
- 「昇殿室」にミーナがいる
- 昇殿とは「許されて神社の社殿に昇ること」なので、ヒルコのボスみたいな存在
- ミーナは機械の体と怪物の融合?(i373と書かれている)
- 施設はミーナが支配しているっぽい
という辺りが気になる。
キルコの目的とは?
キルコについて整理してみる。
東京で「なんでも屋」をやっていて、マルの旅のボディーガード依頼を受けた。
キルコには親友とちょっと会いたい人がいる。
稲崎露敏(ロビン)と、医者(先生?)。
謎のビーム(キル光線)が出る銃も持っている。
これは、マルの保護者の女性(ミクラ)から受け継いだもの。
昔大怪我したとき、手術されたという謎については判明。
キルコの過去は「竹早桐子」の身体から移植された。
5年前に電車力レース中に弟を轢き殺した後、失踪。
キルコは身体は女性で、脳は男性。医者に手術されたっぽい。
「桐子(キリコ)」の中に入った春希だから、キルコという名前だと思われる。
マルの目的は?
マルは「天国」を探している。
ヒルコという謎の怪物も素手で殺せる(マルタッチ)。
施設の人々が特殊な能力を持つことを考えると、彼も施設と関係している可能性もある。
マルの目的は自分と同じ顔をした人に薬を打つこと。
つまりトキオが住む天国に行くのがゴール。
身体に痣が出る病気で死んだマルと一緒に来た人(ミクラ)の願いである。
痣が出る病気の正体は?
「痣が出る病気」を見ても、人々が怯えていないので、災害の死因はこれではない。
そもそも餓死によるものという話もあったから。
しかしこの病気にかかると死ぬようだ。
ミクラがかかっていたので、能力者だけにかかるわけではない。
肉体的な接触も関係していないっぽい(ここは微妙)。
シロの元にもミミヒメのシャワーシーンの映像が来て消えた。
欲望、望みに反応している気もする?
これはトキオのもとに現れた「外の外」のメッセージと同様に何者かが、この施設の外から情報を受信させている?
何の意図があるのか?ミミヒメと接触させるため?
すごい漫画描写
日本の状況を語る上で、
- 「子天使学校」と書かれた場所で手をふる少女たち
- 「安全」と書かれた水を提供している怪しい男
とかなかなかやばめの描写がありました。さすが青年漫画。
謎の整理
- そもそも大災害とはなにか?
- ヒルコ(怪物)の正体は?
- マルの身体能力の高さ・マルタッチができる理由は?
- マルに薬を打てと言ったのは何故か?
- ミミヒメが探すロビンと医者はどこにいる?
- マルとトキオの顔が似ている理由は?関係は?
- ミミヒメとキルコの関係は?(僕という一人称が同じ)
- 身体に痣が出る病気の正体は? ※学校ではタラオにも痣がある
- 鳥のマークの正体は?(箱と、銃についていた)
- コナの書いた「手がたくさん生えた魚」の絵が、ヒルコと似ているのはなぜか?
- トキオがコナからもらった絵の意味は?なにかの暗示?
など。
他にもあるけどとりあえず。
天国大魔境第3巻の感想・考察(ネタバレレビュー)
学校と魔境(天国と魔境)の対比
学校(天国)の特徴は以下のとおり
- 天国と呼ばれる施設
- 水と食料があり、ロボが世話してくれる
- 子どもたちは特別な能力を持つ
- 外の世界からは隔離されている
- 顔のない赤ちゃんを育てている
- タラオが痣が出る病気で死亡
- コナが描く絵にヒルコ(不思議な生物)がいる
魔境の特徴は以下のとおり
- 天国と真逆で生活するのも困難
- 特殊な能力を持つのはマルくらい
- ヒルコ(不思議な生物)に怯えながら人々は生きている
- ヒルコは不死身の生物
- 謎の鳥のマークの銃を使えばヒルコを倒せる
- ミクラが痣が出る病気で死亡
いくつも対比できる設定がある
トキオは女性だった
トキオは女性だったことが判明。
これは完全に騙されましたねw
思えば、キルコの中身が男性で、ミミヒメが女性ですよね。
同様にマルとトキオも性別が逆転している可能性は充分にあった。
ネーミングもあえて「~オ」とつけているところから勝手に男と思っていたし、女性同士の恋愛っぽい概念もあったので、色々伏線だったなあ、と。
子どもたちは全員能力を持っている
子どもたちは全員、特別な能力を持っていることが判明。
ミミヒメは未来予知。
トキオは姿を消せる(監視カメラに映らない)。
タカは身体能力が高い。
メカ作り、機械が得意なシロ。
コナは世界の外側のことが見える?
この能力は何のためか?
- より優れた人類として?
- ミクラに捧げるためのパーツとして?
- どこかへ出荷される
やはりキーとなるのは「お迎えの日」という単語。
2つの世界はいつ交わるのか?
気になるのが2つの世界はいつ交わるのか?
外の世界(魔境)と、内側の世界(天国)はそもそも同時代なのかも気になるところ。
タイムリープ的なSF設定はなさそうだしなあ。
痣の病気などを見るに、この2つの世界は地続きっぽくはある
気になったところ(伏線っぽいところまとめ)
- 復興省、災害前の文明を使えるようにする。さらわれたのは誰?
アスラはさらに5年前に死んでいる(天栄12年) - お迎えの日とは?変えられないということは誰かが決めている?
- 不滅教団、人を永遠に活かし続ける医者がいる
- ヒルコのいち部を身体に移植すると、強くて死なない人間になれるという噂
- タラオの身体から出てきたものはなにか?
- アスラが幽霊のように現れた
- トキオの足になにか出た
- 不滅教団の宇佐美医師とは?
- 不滅教団に反対するリビューマン
- ホテル王になりたいと言っていた少女トトリもヒルコ?ヒルコが人間のようになれるケースもある?(美形なのは、実験が成功したから?)
- ヒルコは不死身。研究結果か?
- 最年長のコナの年齢は17歳。施設内の年表も17年。ということで彼が最年長。施設内の最初の子供か
- 子どもたちはどこかから連れてこられた?あの顔のない赤ちゃんがトキオたちになるのか?
時代が実は違う設定はありえるか?
監視カメラの映像が「t17/07/01」となっていたけれどもこれは「天栄」という元号のようだ。
天栄17年10月16日にタラオ死亡なので、作品内のそれぞれの時間経過は並行していないことも分かる。
現実世界では2019年に元号が令和に変わったが、果たして。
年表を整理すると以下のとおり
- 2025年 大災害、マル生まれる
- 2034年9月付近 キルコの手術、ロビン殺害?医者が消える ※5年前
- 2035年1月付近 キルコ旅立つ(入院から4ヶ月)
- 2039年 マルとキルコが中野で出会い、現在(天国探し中)
説1:日本の現実に合わせているよ
2019年に天栄になるパターンの場合は
- 学校(天国)は2036年
- 外(魔境)は2039年
説2:災害で天栄になったよ
大災害が起きた2025年に天栄になるパターンの場合は
- 学校(天国)は2044年
- 外(魔境)は2039年
説3:天栄とは施設内での呼び方だよ
大災害とか関係なく学校(天国)の誕生とともに元号をつけた場合もありえる
- 学校(天国)は2039年
- 外(魔境)は2039年
この場合は2025年に大災害が起きる前の2022年に施設を作り逃げ込んだという可能性。
これだと天国と魔境の2つの物語は並行していることになる。
ただ怪しい。ミスリードな気がする。
マルの年齢は15歳と”断言”して書かれているのに対して、トキオは「推定年齢14歳」と書かれているのも、トラップっぽい。
天国大魔境で石黒正数が描くサバイバルと謎は?
天国大魔境の前にも作者の「石黒正数」さんは、良質なミステリをたくさん書いています。
本作で「謎だらけのサバイバル」がどう転ぶか楽しみ。
アルパカ
たった今一巻を読み終わった者ですが、あまりの面白さに今出ている情報だけででも人と話したくなってしまい、今後の展開について自分なりの考察をしてみました。
見返してみるうちに頭に浮かんだのは、
マルと同じ顔の人物とはキルコの手術前の顔なのでは?
ということです。
つまり、キルコは手術前は竹早桐子の弟で、電力車レースの事故によって危篤状態となってしまった。
軽傷で済んだ姉は弟を救うため自分の命(脳)を犠牲にして、自分の体に弟の脳を移植させ死ぬ。
弟は姉の体を受け継ぎキルコとして生まれ変わる。
しかしキルコは電力車の事故、または手術のせいで自分の顔を忘れてしまう。
時系列としてはこんな流れでしょうか。
また、この事の伏線として、
・キルコの体が傷だらけなのは姉の負った傷だから?
・キルコは以前から姉を恋愛対象に見ていて、だから鏡の中の姉にキスしょうとしていたのでは?
このように考えてみると、恋愛感情を矢印で表すと、
弟(現キルコ)→姉、竹早桐子(の容姿)=キルコ(の容姿)←マル
という図式が成り立ちます。
この対称性が僕としてうまくハマっている気がしています。
よってマルが探すもう一人の自分というのもキルコの前の体であるというのがしっくりくると思うのですが、どうでしょうか?
時代設定の考察です。トキオのいる時代は天災前なのでは、と思うのですが、どうでしょう。お迎えの日に何かが起こる。それが、天災なのでは。
施設の子ども達は、みんなタラオのように核が入っているのかも。(施設の大人達は知らなかったようですが。)
10話と11話のタイトルは「クク」なんですが、この話の中でマル達が戦ってるヒルコは、ヤモリみたいな手が生えてるんですよね。そしてククも、ヤモリのような能力を持っている気がします。(ジャンプしたり壁にくっついたり)
あと17話「トトリ」の扉絵がタカとアンズなのですが、トトリは2人の子どもなのではないでしょうか。なんか似ている気がします。
あと19話「不滅教団」の扉絵がミミヒメとシロなのも気になります。シロは機械が得意だったので…。
トキオが吐いてしまう描写はつわりなのでは。コナに告白してから、3ヶ月ほど経っています。マルは天災の年に生まれたそうなので、トキオの子どもが、マルなのかも。
気付いたのですが
どうやらこの漫画は古事記がモチーフになっているようですね。
稲崎露敏…イザナギ
ミーナ…イザナミ?
竹早春希…タケハヤノスサノオノミコト
アスラ…アマテラスオオミカミ?
タラオ…アメノタヂカラオ
アンズ…アメノウズメ
タカ…サルタヒコ
ヒルコ…蛭子
第15話でタラオ(アメノタヂカラオ)の部屋の前で皆が音楽を奏で
アンズ(アメノウズメ)が踊る。タラオが岩を投げ捨てたというエピソード。
これは太陽神アマテラスオオミカミが
天岩戸に閉じ籠ったのを他の神々が出そうとする下りを思わせます。
第17話「トトリ」の扉絵がアンズとタカ(サルタヒコ)ですが
アメノウズメはサルタヒコの妻となったという説があります。
そしてトトリにはマルタッチ可能、という事は…。
他にも色々あるかもしれません。
おお、、鋭すぎる洞察です。
なるほどなるほど、古事記という観点から見返してみると、先が読めそうですね!
貴重なご意見感謝です!!