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橘玲(たちばなあきら)さんの新著「働き方2.0vs4.0 不条理な会社人生から自由になれる」の感想です。
本書で学べることは
- 「働き方」の大変化の潮流
- 巷で言われる「会社不要」&「管理職不要」は本当か
- 人生100年&AI時代の残酷な生存戦略
です。それぞれ解説&個人的な感想も述べていきます。
アルパカ
目次
「働き方」の大変化の潮流(働き方2.0と働き方4.0)
「働き方」の大変化の潮流がこの本のタイトルでもあり、前提です。
働き方1.0から働き方5.0まで
橘玲さんが表現する「働き方1.0から働き方5.0」までをまとめると、
- 働き方1.0 年功序列
- 働き方2.0 成果主義
- 働き方3.0 プロジェクトベース
- 働き方4.0 ギグ・エコノミー
- 働き方5.0 AI
という感じでして、自民党の改革・アベノミクスなどで日本は徐々に「働き方2.0 成果主義」になっています。
しかし、世界を見渡すと
- アメリカの3割はFreeAgent(フリーランス)
- Netflix,Googleを中心に働き方3.0が主流
- 欧米諸国の働き方は、「4.0 ギグ・エコノミー*」にシフトしていく
という先の流れが見えます。
*ギグ・エコノミー=「ジャズミュージシャンが即興でセッションするように、個人が緩やかに一緒に仕事する」
日本のいびつな現状がよく分かる
本書を読むと、日本のいびつな現状がよく分かります。
そもそも日本の働き方に関する制度は
- 55歳で退職
- 退職後は10年ほどで死ぬ(寿命)
- 国民全員が結婚し、死ぬまで離婚しない
という前提で作られています。
しかし現状は
- 60歳で退職
- 寿命100年時代
- 離婚率3割
という時代でして、明らかに制度が現実に追いついていません。
また、そんな制度と、日本経済の成長を元にして作られた
- 年功序列
- 終身雇用
- イエ(世帯)単位の制度設計
も段々と崩壊しているよね、ということが論理的に分かります。
他書ですが、2chひろゆきさんも同じように日本経済の今後を考えているようです↓
欧米諸国の先進的な働き方
アメリカの企業(GoogleやNetflix)は、プロジェクト単位での仕事を推進しています。
また日本のように、ガチガチな制度で縛り付けることもしていません。
研究&効果測定によって導き出された「合理的な働き方」をした結果、世界トップクラスの時価総額の企業になっているのです。
その代わり、この状態は「働き方3.0」という段階でして、プロジェクトが終わったら離散するのが基本です。
日本のように、正社員でいる限り「いつまでも何かしらの仕事が入ってくる」状態ではありません。
アルパカ
巷で言われる「会社不要」&「管理職不要」は本当か
巷で言われる「会社不要」&「管理職不要」という意見があります。
ホリエモンも「会社はいらない」本を出していましたね
多くの労働者がフリーランス化し、個人が緩やかに繋がる将来において
- 会社はあるのか?
- マネジメントだけする管理職はあり続けるのか?
という疑問に対して、本書は答えます。
「なくならない」と。
映画業界を見ると未来が分かりそう
アメリカの映画業界は、早くから「先進的な働き方」が成り立つ業界です。
例えば小規模/インディペンス映画を作る際は、個人がお金を集めて、俳優を集めて、作ります。
プロジェクト(映画)ごとに、一時的に集まり、解散する、という流れですね。
では、そんな映画業界において「会社」と「管理職」は存在するのか?
もちろん、存在しています。
自主映画はさておき、映画の規模が大きくなると、必然的に
- 大資本(スポンサー費用)の管理
- グッズ化の管理
などの仕事が生まれて、それはもはや個人では管理しきれません。
…というよりも「裏切らない組織体(運命共同体)」として、管理したほうが効率が良いので、存続します。
ということで、働き方が進展しても会社&管理職が無くなることはなさそうです。
ブルシットジョブと感じている人は37%もいる
ブルシットジョブ(Bullshfit Job)というバズったワードがあります。
ロンドンスクール・オブ・エコノミクス(LSE)の社会人類学教授のデヴィッド・グレーバーが作った言葉です。
グレーバーは、カクテルパーティーで自分の仕事について話したがらない人に何度も出会います。
グレーバーの話にはとても興味を持ってくれるのに、自分の仕事の話になると直ぐに話題を変えてしまう。
酒が入ると「上司には内緒ですが、自分は何にもやってないようなものなのです…」と彼らは打ち明けます。
彼らの仕事は、会議で図表やグラフを駆使してプレゼンするような中間管理職が多いです。
実際にこんな会議を望んでいる者は誰もいないし、出席したところで何かが変わる訳でもないことを、彼らはわきまえている。
そこでグレーバーは、こうした無意味だが高賃金な仕事を”ブルシットジョブ(bullshit job)と呼ぶことにしました。
実際、この言葉が世に出てから「自分もブルシットジョブだ!と感じている人は37%」もいたそうです。
管理職もブルシットジョブかも
で、話が戻りますが、無くならない仕事(管理職)もブルシットジョブかもなーと思います。
アルパカ
グレーバーは以下のような仕事が代表的なブルシットジョブだ!と言います。
- Flunkies(太鼓持ち) 受付係、秘書、ドアマンなど、自分が重要な人物だと思わせるために存在する仕事
- Goons(用心棒) ロビイスト、企業弁護士、テレマーケター、広報など、雇い主のために相手を攻撃する仕事
- Duct Tapers(落穂拾い) 出来の悪いプログラムの修正など、そもそもあってはならない問題の手直しをする仕事
- Box Tickers(社内官僚) パフォーマンスマネジャー、社内広報誌のジャーナリスト、休暇のコーディネーターなど、内向きの仕事
- Task Makers(仕事製造人) 中間管理職やリーダーシップの専門家など、無駄な業務を生み出す仕事
ってことで、これらの仕事にはつかないほうが良いかもしれませんね。
というのも人生100年時代&AIが出てくる世界では「好きなことをやらないと食っていけない」可能性があるからです。
人生100年&AI時代の残酷な生存戦略
現代を生きる我々が認識しておくべき事実は
- 人生100年(寿命が圧倒的に伸びた)
- AIの進化(ルーチンワークは機械に任せる)
という2点。
日本では社会保障(税金)制度は破綻するのが目に見えていますし、100年間の「生活費」は自分で稼ぐ必要があります。
更に、大企業でもリストラがあり、会社自体もいつ消えるか分かりません。
だからといって、ルーチンワークは産業時代以降「機械が代替」していますし、知的な認知作業も「AI」に取って代わられます。
では、こんな時代にどう生きれば良いのでしょうか?
「モチベーションデバイド」と「残酷な生存戦略」
インターネットの発展により、デジタルデバイド(情報格差)が解消されるのは、時間の問題です。
誰にでも情報が行き渡り、勉強も仕事も「正しい方法」が多くの人に知られる。
そうなると、必然的に「やればできるのにやらないのは、個人のやる気の問題」という世界に突入します。
つまり「モチベーションデバイド(やる気格差)」が次なる問題といえます。
こうなると、40年以上「好きでもないこと」を延々と続ける苦行は生存戦略としてはNGです。
結果、やる気が持てる「好きなことを仕事にし続けるしか無い」という残酷な世界に突入するのです。
アルパカ
情報爆発と、AIの進化
本書を読んで衝撃だったのが「情報量」の増加速度です。
現在、医療分野では、41秒に1本新しい論文が投稿されているそうです。
仮に、お医者さんが自分の専門領域に関する発行物を全て読むのならどれくらいの時間が必要か?
だいたい「365日間、毎日21時間勉強が必要」です。
ってことで、人間にすべての情報を処理するのは不可能ですね、はい。
更にAIの進化も凄まじく、病気の発見などの誤認率は
- 専門家:3.5%
- AI:7.5%
というところまで来ているようです。
※囲碁の世界チャンピオンがAlphaGoというAIに負けたように、抜かれる日も近いかも
ただ、朗報なのが「専門家がAIを使う」と、誤認率は0.5%まで下がったそうです。
将棋の藤井聡太さんも将棋ソフト(AI)で学習したという話もありますし、専門家になる&AIを使いこなすのが今後の必須条件かもしれませんね。
まとめ:個人的な感想と今後の生き方案
本書では他にも
- フィリピン人と多重国籍の話
- 日本郵政グループの非正規社員の待遇の話
- 資本家、クリエイター、スペシャリストの給料
など面白い話題がたくさんあります。
色々読んできて、個人的に採用したいなーと思った戦略は以下の3つです
- ぬるい日本でイノベーションの外注先になる
- 自分の名前を背負って生きていく(評判経済)
- 専門家になりAIを使いこなす
詳しくは本書をご覧いただければ、と思います。
現代の世界、そして働き方を俯瞰的に見られる良書でした。