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「チェンソーマン」と「ファイアパンチ」について考えるために、藤本タツキさんのインタビューをまとめてみました。
アルパカ
当記事は、チェンソーマンが面白かった人と、ファイアパンチが面白かった(けどよくわからなかった)人に向けての著者分析の記事です。
インタビュー記事からわかった面白い点は
- ファイアパンチとアンパンマンの意外な共通点
- ファイアパンチを売れるマンガにするための戦略性
- ファイアパンチは「超能力ジャンル物」なのに再生能力ばかり多い理由
などです。
アルパカ
目次
チェンソーマンとファイアパンチの藤本タツキ
2018年にチェンソーマンの連載を始めた藤本タツキさんについて紹介します。
藤本タツキとはどんな漫画家?
藤本タツキさんとはどんな漫画家か簡単にまとめます。
- 1992 年秋田県生まれ秋田県育ち
- 大学生の時に読切作品『恋は盲目』がクラウン新人漫画賞佳作
- 「ファイアパンチ」がWEBで話題になる
- 2018年12月3日の週刊少年ジャンプで「チェンソーマン」の連載開始
大学は東北芸術工科大学のようですね。
ファイアパンチで人気になった若手漫画家です。
藤本タツキインタビュー記事まとめ
そんな藤本タツキさんのインタビュー記事まとめです、元記事はこちら
アルパカ
藤本タツキ(チェンソーマン)と、沙村広明(無限の住人)の対談インタビュー
藤本タツキさん(チェンソーマン作者)と、沙村広明さん(無限の住人作者)の対談です。
藤本さんは「沙村先生は僕にとってレジェンド」と尊敬しています。
ファイアパンチは韓国映画「チェイサー」の影響を受けていた
ファイアパンチは韓国映画「チェイサー」の影響を受けていた!という話。
僕、ずっと韓国映画みたいな漫画を描きたいと思っていて。『チェイサー』っていう映画があるんですが、主人公が悪役を追う映画なんですね。開始30分くらいでもう悪役が主人公に捕まるんです。話しのオチであろう展開がすぐ起こっちゃって、「どうなるんだ、どうなるんだ」の繰り返しなんですね。韓国映画って、監督が何を思ってるか分からないとか言われがちなんですけど、最後まで観れば、「これだ」っていうのが分かるんです。そういう風に作りたいなって思っています。
引用元:藤本タツキと×沙村広明軌跡の対談
世界的大ヒットした韓国映画チェイサーがファイアパンチに影響を与えていたようです。
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藤本タツキさんの貧乏生活時代
藤本タツキさんは23歳でデビューしています。
大学卒業後は、しばらくプータロー生活を送っていたそうです。
藤本:僕も卒業してからプータローで、家賃2万円のところに住んでいました。エアコン付いてなかったり大変でした。
引用元:藤本タツキと×沙村広明軌跡の対談
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キャラクタの演技についての洞察
キャラクタの演技についての洞察です。
映画『この世界の片隅に』の原作漫画版(作:こうの史代)について藤本先生が語っています。
こうの史代先生の描く女の子がすごくエロいなって思ったんです。特に足がエロく感じて。なんでかなと思ったら、足で演技しているからなんですね。等身が低くてホビットみたいなんですが、実在感がすごくあるしリアリティも高いんです。
引用元:藤本タツキと×沙村広明軌跡の対談
アルパカ
また、お笑いコンビ「バナナマン」のコントについても語っています。
バナナマンさんのコントを見てる時にも思ったんですが、コントの短い時間の中で、そのキャラクターたちが本当に生きてるなって思ったことがあって。それはキャラクターによって鼻を触ったり、足踏みをしたりするキャラクターがいて。仕草でキャラクターの奥行きができたんですね。
引用元:藤本タツキと×沙村広明軌跡の対談
アルパカ
結論としては、キャラクタのリアリティ、奥行きを出すには、「細々とした身体的な動作が必要だ」という観察ですね。
非常に鋭くて面白い視点だと思います。
アルパカ
ファイアパンチは漫画慣れした読者が対象
藤本先生いわく「ファイアパンチは漫画慣れした読者が対象」のようです。
藤本:うかがいたいんですが、沙村先生はどこまで世間受けを気にされてますか?僕はそんなに気にしていないんですけど、「世間受けしないぞ」って意識しているから逆に世間受けしているみたいになっているかもしれません。
藤本:僕の作品は、ひと通り漫画読んで飽きた人が読んでいる気がします。
藤本:漫画を初めて読んだ人が『ファイアパンチ』読んだら本当にわけ分からないだろうなって。
藤本:僕は『ファイアパンチ』では少ないキャラクターのオチだけ考えている
引用元:藤本タツキと×沙村広明軌跡の対談
たしかにファイアパンチは、いわゆるメタ視点が多分に含まれている漫画で、「そうきたか」という面白さがあります。
私は漫画を年に数百冊読むので、面白いと感じましたが、漫画を多く読んでいない読者は「なんだこれ」となる危険性はありますね。
「このマンガがすごい」でファイアパンチに関するインタビュー
「このマンガがすごい」でファイアパンチに関するインタビューを受けていました。
ファイアパンチのタイトルの挿入はタランティーノ映画の影響
ファイアパンチのタイトルの挿入はタランティーノ映画の影響のようです。
藤本 僕、タランティーノの映画とかで、タイトルがバンッ! って出てくるのが好きなんです。だけど、マンガではあんまり見ないですよね。『最終兵器彼女』(高橋しん)とか『ヒメアノ~ル』(古谷実)はやってましたけど。『最終兵器彼女』は、それまでは全然別の仮のタイトルだったのに、2話か3話のところで「最終兵器彼女」って出て、かっこいいなと思ったんです。
引用元:このマンガがすごい!
タランティーノ、『最終兵器彼女』(高橋しん)、『ヒメアノ~ル』(古谷実)など出てくる辺り、アラサーのわたしとしては非常に共感を覚えます。
アルパカ
ファイアパンチは3部構成でラストが決まっていた
ファイアパンチは3部構成でラストが決まっていたという話。
藤本 そういうところはありますね。えっと、『ファイアパンチ』は3巻までが第1部で、全体では「序破急」の3部構成です。
――ラストは決まっている?
藤本 決まっています。
引用元:このマンガがすごい!
藤本 1、2、3巻が、序章です。 4巻5巻が、破章の途中までです。破章の終わりと、次章の始まりを楽しみにしてほしいです。
個人的には、ファイアパンチの物語はどこまで計画されたものかが気になっていました。
描いていく中で展開が決まったのかなあとも思っていましたが、どうやら3部構成で進めて、ラストのあのオチは予定通りだったんですね。
ファイアパンチは1巻ごとにジャンルを決めていた
ファイアパンチは1巻ごとにジャンルを決めていたという話。
藤本 1巻ごとにジャンルを変えたくて。
――ジャンルを変える?
藤本 1巻は復讐劇みたいに始まりますけど、2巻ではその第1巻を否定して、ギャグマンガにしたかったんですね。
藤本 否定の否定、ではないんですけど、3巻では2巻を否定したかったです。
引用元:このマンガがすごい!
後半の巻のジャンルは何だったのか、再び読み返したくなりました。
ファイアパンチは能力バトルものではない(再生の能力者ばかりの理由は)
ファイアパンチは能力バトルものではないです。
再生の能力者ばかりの理由は雪の世界の物語からの必然という話
藤本 まぁ、雪のなかの世界ですから、普通の能力では生きていけないと思うんです。そうすると必然的に再生能力者ばかりになっちゃうかなぁ。
――2巻でトガタが「なんで再生の能力者ばっかなんだよ」っていうシーンがありますけど、あれは作品に対するメタ的なギャグでありつつ、世界観を匂わせるセリフなんですね。
藤本 そういう人(再生能力者)しか生き残れないような世界ですから。
引用元:このマンガがすごい!
能力物ではありますが、ジョジョの4部みたいに日常的な能力が多いのは、世界設定によるもの。
アルパカ
宗教的はテーマではなくあくまでもモチーフ
宗教的はテーマではなくあくまでもモチーフという話。
――藤本先生ご自身が、宗教に対して興味があるんでしょうか?
藤本 それが作品のテーマというわけではないです。ただ、宗教にしろ、映画にしろ、僕が物語りたい部分に一致しているところがあるので、モチーフとして使いたいと思っていました。
引用元:このマンガがすごい!WEB
藤本 それに、この『ファイアパンチ』の世界は、正しい教養が身につかない世界というか……。文化的な水準が低いんです。
――内戦のあった国とか、たった一世代で文化がかなり失われてしまいます。
藤本 テクノロジーだけ残っているけど文化水準は低いので、目先の快楽に飛びつく、というのもあります。男性は性的なものを求めるし。
引用元:このマンガがすごい!WEB
ファイアパンチの世界は雪に覆われ、前の世代の文化が失われています(映画を筆頭に)。
この辺りも、SF的なリアリティを出すためにしっかりと考えられていたようです。
藤本タツキインタビューその他
藤本タツキさんインタビュー(その他)です。
藤本タツキの好きな作品(アニメ)
藤本タツキさんの好きな作品は、ハルヒを筆頭に最近のアニメが多いようです(年齢的に当たり前ですけど)
藤本:好きなアニメはかなりありますが何回も繰り返し見ているのは『涼宮ハルヒの憂鬱』、『氷菓』、『おじゃる丸』、『日常』、『かみちゅ!』、『クレヨンしんちゃん』、ピクサー作品、ディズニー作品、ジブリ作品です!
引用元:animateインタビュー
わたしもアラサーなので、幼少期に「おじゃる丸」を見て育って世代です。
アルパカ
ファイアパンチは売れるマンガを目指して戦略的に描かれた
ファイアパンチは売れるマンガを目指して戦略的に描かれたという話。
──そもそも「ファイアパンチ」は、どういった着想からスタートしたのでしょう。
「アンパンマン」からヒントを得ました。こんなことを僕のようなペーペーが言うと、偉ぶっている感じになってしまうかもしれないんですが(笑)、売れるマンガを描きたいと思っていたんです。ただ僕は放っておくと感覚的に物語を作ってしまうので、「戦略的に描いてみよう」と、いろいろな作品を研究してみて。その中で今も長く愛されている作品って、「ドラえもん」「サザエさん」「アンパンマン」かなって思ったんです。その中でも「アンパンマン」は海外では奇抜だって言われているらしくて。
引用元:ナタリー
アルパカ
ファイアパンチのグロい表現の秘密
ファイアパンチのグロい表現の秘密も語られていました。
僕はきれいな部分とか、優しいものを描くなら残酷な部分を描かないといけないと思っていて。そのほうが優しい部分に触れたときに、映えるじゃないですか。「ファイアパンチ」では1巻で汚い世界を描いていますが、それは今後の展開への布石なんです。
コントラスト(対比)を付けるためのグロくて残酷な描写だったようです。
アルパカ
ファイアパンチで自分の肉を村人に分け与えるのはアンパンマンだった
ファイアパンチで「自分の肉を村人に分け与える」1話目が印象的でした。
あれ、アンパンマンだったらしいですw
自分の顔を分け与えて食べさせる部分が、あまり海外にはない発想みたいで。その話が面白くて、「アンパンマン」を軸に話を作ってみようと思ったんです。そこから飢餓にあえぐ村で、自分の肉を村人に分け与えるっていう設定が生まれて。あとアンパンマンの必殺技がアンパンチなので、そこからファイアパンチっていう言葉が出てきました。で、ファイアパンチっていうくらいだから、寒い世界にしたほうが、炎が目立つだろうと思って。
引用元:ナタリー
あと主人公のアグニは、アンパンマンの頭文字「ア」から考えたんです。ちなみにドマはドラえもんの「ド」、サンは「サザエさん」の「サ」からです(笑)。
まとめると
- アンパンマンの「顔をお食べよ」→「肉を分け与える」
- アンパンマンの「アンパンチ」→「ファイアパンチ」
- アンパンマンの「頭文字のア」→「アグニ(主人公の名前)」
ということですね。
アルパカ
ファイアパンチが、物語の中でジャンルが変わる理由
物語の中でジャンルが変わる作品を描きたかったという話。
僕は物語が展開される中で、ジャンルが変わるというか、読者が事前に予想していた展開からまったく別の方向へ進んでいくマンガを作りたいと思っているんです。映画なら「ゴーン・ガール」、アニメでいうと「魔法少女まどか☆マギカ」「がっこうぐらし!」「ハイスクール・フリート」なんかがそうですかね。
引用元:ナタリー
たしかに「まどマギ」も「がっこうぐらし」もジャンルが変わっていく作品でしたね。
「ゴーン・ガール」はファイアパンチの「何が起きているんだコレ」みたいな感覚が好きな人には、うってつけの映画です。
アルパカ
藤本タツキインタビューポイントまとめ
藤本タツキさんのインタビュー記事の思い白かったポイントまとめです。
- ファイアパンチは売れるマンガを分析して作られた(アンパンマンの「カラダを分け与える」ところからインスピレーションをもらった)
- ファイアパンチは元から3部構成で、ラストも決まっていた
- ファイアパンチを意図的に1巻ごとにジャンルを変える
- ファイアパンチは「超能力ジャンル物」なのに再生能力ばかり多いのは「雪の世界で生きる話だったから」
ファイアパンチの話題に偏ってしまいましたが、なんとなく作者像の片鱗が見えた気もします。
アルパカ
藤本タツキ先生の漫画読むたびにあれ、これアフタヌーン?って気持ちに毎回なってるな…